芸能トラブル「Q&A」
Q1 どのようなトラブルが多い?
芸能トラブルとして、芸能界には独立・移籍トラブル、名誉毀損問題、パワハラ、暴力問題、ドラッグ、暴力団(準暴力団)問題などの多くの芸能問題が多いですが、そのなかでも、以下のトラブルが多いといえます。
1位 事務所側との契約トラブル(事務所移籍・独立問題、契約・権利の帰属問題など)
2位 事務所側との金銭トラブル(報酬の未払い・不透明問題、違約金・損害賠償請求など)
3位 事務所側によるハラスメントトラブル(パワハラ、セクハラ、強制わいせつ、枕営業の強要、盗撮など)
4位 ファンとのトラブル(恋愛、ストーカー問題、ベンジポルノなど)
芸能界には、名誉毀損問題、パワハラ、暴力問題、ドラッグ、暴力団(準暴力団)問題などの多くのトラブルが多いですが、そのなかでも、以下のトラブルが多いといえます。
Q2 タレント契約書の注意点は?
まず、タレント契約書の名称は「所属タレント契約書」「専属契約書」「マネージメント契約書」など芸能事務所によって様々です。このタレント契約を締結する際,契約書の以下の点について、注目する必要があります。
- ・専属かどうか?
- ・芸名の帰属は?
- ・報酬の割合・定め方は?
- ・実費負担はあるのか?
- ・どのような禁止規定があるのか?
- ・契約期間は?
- ・解除事由は?こちらからも解除できるのか?
- ・損害賠償(途中解除の場合の違約金など)については?
- ・著作物など知的財産については?
- ・SNSに関する権利(YouTubeのアカウント権利も含めて)の帰属もしくは終了方法は?
- ・解除後の制限(競業避止義務等)はあるのか?
他にも注意点はありますが、最低でも以上の点は、確認する必要があります。
一度契約を締結してしまうと、残念ながら、原則として契約書の内容が法律や公序良俗、社会正義に反していない限り、契約書に記載された内容がルールになってしまい、後々争うのが困難であり、時間や労力、そして金銭的負担が必要となります。
そのため、契約締結「前」に弁護士などの専門家に契約書をチェックしてもらうことが大事となります。事務所の選択を間違って、将来の可能性を潰してしまう芸能人(タレント)も多いといえます。また、仮に契約締結「中」においても今後の契約更新に備えて、弁護士などの専門家に契約書をチェックしてもらいましょう。
なお、最近の傾向では、事務所との契約終了時においてSNSに関する権利(YouTubeのアカウント権利も含めて)について問題になるケースが増えています。
Q3 タレント契約を途中で解除することができるのか?
基本的には、タレント契約(マネージメント契約)では、1年、3年もしくは10年と「契約期間」を定めています。
これは、事務所側が費用をかけて育てた芸能人(タレント)に途中で辞められたら(ほかの事務所に移籍されたら)困るためです。しかし、芸能人(タレント)側も、どうしても事務所を辞めたい場合もあります。ここで、事務所側と芸能人(タレント)側に衝突が起きるのです。
では、タレント契約(マネージメント契約)を解除することができるのでしょうか?
以下の場合などには、契約を解除できると考えられます。
- ・事務所と契約解除について合意ができた場合
- ・契約書に解除について規定がある場合
- ・債務不履行があった場合
- ・マネージメントの契約の性質上、解除できる場合
など
以上のように、一定の場合には、契約を解除することができるといえます。
ただ、たとえ上記の条件に該当し、契約を解除できた場合でも、問題はこれだけではありません。
- ・契約書に「違約金」の定めがある場合
- ・「損害賠償」の請求の可能性がある場合
- ・「競業避止条項」の定めがある場合
- ・「知的財産が全て事務所に帰属する」定めがある場合
- ・「契約終了時におけるSNSの終了規定」の定めがある場合
- ・今後の芸能活動への支障 等の問題が残っています。
そのため、事務所を途中で辞める際には、以上の問題を念頭に事務所と丁寧かつ慎重に交渉をしなければなりません。場合によっては、弁護士が交渉の前に出ない方が良い場合もあります。今後の芸能活動を考えると、裁判をすることが好ましくない場合もあります。
だからこそ、業界に詳しい弁護士の助言等が必要となります。
Q4 なぜ、タレントの活動により得られた報酬を芸能プロダクションが受け取ることができるのか?
それは専属マネージメント契約書には、通常、下記のような規定があるからです。
第○条(対価等)
タレントは、芸能プロダクションに対し、タレントの芸能活動により発生する対価をタレントのために第三者に対して直接請求及び受領する権限を与え、タレントは自ら又は芸能プロダクション以外の第三者を通じてこれをおこなわない。
Q5 「芸能活動禁止契約(特約)」って有効?
芸能事務所を辞める際に、「事務所を辞めたあと数年間は芸能活動を禁止する。」との契約(特約)の締結を強いられることがあります。
でも、このような特約って有効なのでしょうか?
東京地方裁判所平成18年12月25日の判決では、「芸能人の芸能活動について当該契約解消後2年間もの長期にわたって禁止することは、実質的に芸能活動の途を閉ざすに等しく、憲法22条の趣旨に照らし、契約としての拘束力を有しない」としました。
つまり、裁判所は、「事務所を辞めたあと数年間は芸能活動を禁止する。」との契約(特約)は無効ですよ!と判断しました。また、2019年、公正取引委員会も原則として競業避止義務については、事務所側に正当な理由がないとして違法(独占禁止法違反)との見解を発表しました。
Q6 パブリシティ権とは?
顧客吸引力を中心とする経済的な価値(パブリシティ価値)を保護する権利のことを「パブリシティ権」を言います。つまり、タレントなどの有名人の氏名や肖像(写真など)を財産的に利用する権利のことです。例えば、タレントなどの有名人には、この「パブリシティ権」があるため、無許可で、タレントなどの名前や写真を使って、勝手に商品を作ってしまった場合、損害賠償の責任を負ってしまう可能性があります。
参考リンク先
Q7 ストリートライブは何が問題?
当事務所では、アーティストからのご相談もたくさんあります。そのなかでも多い相談は「ストリートライブ」について。「なんで警察に怒られるの?」「どうすれば良いの?」という相談を受けます。
では、ストリートライブの何が問題なのでしょうか?
許可が必要
道路を使用もしくは占有するためには、法律で「道路使用許可」(道路交通法77条)もしくは「道路占有許可」(道路法32条)が必要となる場合があります。なお、使用か占有かは、一時的なものか、継続的なものかで区別されます。
そして、ストリートライブをするためには、この「道路使用許可」が必要となるのです
※残念ながら、駅周辺の道路では、許可が難しいという現実があります・・・・。
罰則は?
もし許可を得ないで、ストリートライブをしてしまうと、法律違反として、道路交通法第119条第1項第12号の4の定めにより「3月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられ」る可能性があります。だから、
無許可でのストリートライブは問題となるのです。まずは管轄する警察署に相談してみましょう。