第三者が撮影対象者(被害者)を特定できてしまう形で、性的な画像(私事性的画像記録)を公表してしまった場合などに該当します。
例)グループLINEへの送信、SNSへの投稿、インターネット掲示板への投稿、公衆の場に貼る・ばらまく等
公表罪 … 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金リベンジポルノとは、元交際相手(不倫相手含む)、ネットで知り合った相手などの私的な性的写真や動画を、その相手の同意なく、SNS、ネット掲示板やアダルトサイトなどに、インターネットを通じて公表する(不特定多数の人が閲覧できる状態にする)などの行為をいいます。
リベンジポルノの事案では、実際に写真や動画の公表まで至らずとも、その前段階での『撮影行為』や『脅迫行為』等で既に犯罪となるケースも多くあります。
スマホの普及で写真や動画の撮影が容易となり、またSNS等への投稿は数秒の操作でできるため、一時の感情で我を失い、重大な違法行為をしているという意識もなく行為に至ってしまうことが、多く発生しています。
また、ネット上の第三者に性的写真や動画を渡し、『公表を依頼する』ケースも違法行為にあたる場合があります。
「リベンジポルノ」は、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(リベンジポルノ防止法)に違反する行為です。 具体的には、以下のような行為をすると、リベンジポルノ防止法に違反することになります。
性的な画像(私事性的画像記録)を、撮影対象者が誰か分かる状態で・・・
たとえ、写っているのが撮影対象者の体の一部だけであったり、撮影対象者が衣服を一部着ていたりしても、私事性的画像記録と評価され、第三者に見られることを撮影対象者本人が同意していなければ、リベンジポルノに該当する可能性もあります。
なお、一般的に、日本の刑事裁判においては、起訴された場合、99%の確率で有罪となるのが通例であると言われています。
リベンジポルノ防止法において犯罪行為とされているのは『公表罪』や『公表目的提供罪』です。
第三者が撮影対象者(被害者)を特定できてしまう形で、性的な画像(私事性的画像記録)を公表してしまった場合などに該当します。
例)グループLINEへの送信、SNSへの投稿、インターネット掲示板への投稿、公衆の場に貼る・ばらまく等
公表罪 … 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金第三者に公表させる目的で性的な画像(私事性的画像記録)を第三者に提供する行為を指します。
例)SNSでの拡散を第三者へ依頼して提供する、公衆の目に触れる場所へ貼るよう第三者へ依頼して提供する等
提供罪 … 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金これらは親告罪であるため、以下のような条件を達成できれば起訴されません。
そのため、告訴前・被害届提出前、もしくは、告訴後・被害届提出後の告訴取消しや被害届取下げに向けた被害者との示談交渉が逮捕回避、不起訴獲得・前科回避のため非常に重要となります。
なお、被害者としては、写真や動画に写る背景や内容などから「性的な画像や動画の投稿に関与したのは誰か」というのを迅速に特定しやすく、こういった場合に被害者から捜査機関に被害相談がなされると、逮捕に向けた捜査がどんどん進んでいってしまう可能性があります。
リベンジポルノとまではいかない前段階の行為、もしくは、リベンジポルノ防止法違反と併せて問われる可能性がある犯罪としては以下のようなものがあります。
性的な写真や動画を使って相手を脅したり何かを要求したりすると、内容に応じて脅迫罪や強要罪(未遂罪を含む)などの罪に問われる可能性があります。それぞれの例を確認してみましょう。
罪名 | 内容 |
---|---|
脅迫罪 |
「裸や性行為中の写真をネットにあげるぞ」などと言う 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
強要罪 |
「裸や性行為中の動画をネットにばらまかれたくなければもう一度会え」などと言う 3年以下の懲役 |
恐喝罪 | 「裸や性行為中の動画をSNSに公開されたくなければ金を払え」などと言う |
不同意性交等罪 | 「性行為中の動画をネットに投稿されたくなければ、自分と性行為をしろ」などと言う |
撮影罪とは、正当な理由がないのに、ひそかに、性的な姿態を撮影したり、拒否できない状態を利用して性的な姿態を撮影したりする行為を指します。
例えば、相手に気付かれないように隠し撮りすることなどがこれに該当します。
わいせつな写真や動画を不特定又は多数の人に有料無料を問わず、交付すること等が該当します。
わいせつ物頒布罪 … 2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は懲役及び罰金を併科性的写真や性的動画の内容によっては、被害者の社会的評価を低下させるものもあります。このような場合、被害者の名誉を毀損したとして、名誉毀損罪に該当する場合があります。
名誉毀損罪 … 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金性的写真や性的動画に映る被写体が18歳未満の場合、児童ポルノ禁止法違反が問題となります。
児童ポルノ禁止法では、児童ポルノを所持する行為のほか、相手に児童ポルノを撮影させ送ってもらう行為や、児童ポルノを提供したり、公然と陳列する行為などが規制されています。
リベンジポルノで逮捕されると、起訴・不起訴の判断がでるまで最大23日間の身体拘束が続く可能性があります(余罪があれば、これが繰り返される可能性もあります。)。
まず、逮捕されると警察署の留置場等に入れられ、逮捕から最大48時間、取り調べが行われます。
取り調べの結果、検察へ送致されれば、検察官によって勾留すべきかの検討がなされます。検察官が裁判官に対して勾留請求をすれば(送致から24時間以内)、裁判官が勾留の可否を決定します。
勾留が決定すると原則10日間、さらに勾留延長が決定すれば加えて10日間以内の身体拘束が続きます。
逮捕から考えますと、最大23日間の身体拘束の可能性があります。
基本、被害者は加害者と接触したくないとの気持ちになっているといえますので、自ら直接被害者と接触を試みることは避けた方が無難だと一般的に考えられています。
警察や検察が示談を仲介することはありませんので、被害者との示談交渉に着手するためには、一般的には弁護士に依頼することが必要になります。加害者が弁護士に被害者との示談交渉を依頼した場合、一般的に、弁護士は、捜査機関から被害者情報(氏名・電話番号)の開示を受け、弁護士と被害者サイドで話し合いを始めていきます。
示談交渉を具体的にどのように進めるかは法律に書かれていません。被害者との「交渉ごと」「話し合い」になりますので、示談交渉が成功するかどうかは、弁護士の過去の経験や技術によるところが非常に大きくなります。進め方を間違えると、逆に被害者を怒らせるという事態すら考えられますし、単に加害者の利益ために示談成立を急いでいると被害者に認識されると、示談交渉が決裂するおそれもあります。
レイ法律事務所では、リベンジポルノ等の被害者側の依頼も多く受けています。そのため、被害者感情を理解した上で被害者の方の声に真摯に耳を傾けるとともにスピード感をもって示談のお話を進めていくことができます。その際、被害者の方との話し合いにおいても被害者の方のご都合や生活環境に合わせ、できる限りの配慮をしながら進めていきます。
示談金の相場はありません。インターネット上には示談金の相場に関する情報が出回っていますが、結局のところ被害者次第、交渉次第というところですので、それが必ずしも正しいとはいえません。示談金の額については、被害者の方から訴えを提起された場合に判決で想定される金額を一応の基準にすべきと考えますが、被害者の地位や年齢、性的写真・動画等の拡散状況やSNSに投稿した後の行動等によっても左右されますので、具体的な金額は、お話を十分にお聞きした後でなければ回答することはできません。
また、被害者の中には「いくら高額の示談金を提案されたとしても示談には応じない」という方もいらっしゃいます。このような場合にも、示談金の提案額をはじめとして、弁護士の経験則が非常に重要になってきます。
絶対に示談しなければならないという決まりはありません。
しかし、示談の成立は、刑事手続きにおいて有利な要素と考えられています。
また、示談は将来的なトラブルの防止とも言えます。例えば、リベンジポルノ防止法における犯罪行為の時効は、その行為が終わった日から3年とされていますので、その間に被害者から告訴・被害届の提出をされるのを防ぐ手段と考えられます。
なお、先々で問題の蒸し返しとならないように解決するためには、示談交渉と併せて、法的な知識と経験に基づいた有効な『合意書』を作成し、被害者と締結する必要もあります。