トラック運転手も残業代はもらえる?労働問題に強い弁護士が詳しく解説!

職業:トラック運転手

長時間の運転や荷待ちで遅くまで働いているのに、残業代が一切支払われない。そんな悩みを抱えるトラック運転手は少なくありません。
「歩合制だから」「みなし残業だから」と言われて、それで納得してしまっていませんか?

正社員として働いている場合、残業代は発生します。
また、契約社員、派遣社員、アルバイトやパートであっても残業代は発生します。
個人事業主(業務委託契約、フリーランス)であっても、その働き方の実態次第では残業代が発生します。

労働基準法では、『1日8時間』または『週40時間』を超える労働について、勤務先(使用者)は、36(サブロク)協定を締結したうえで、残業代(割増賃金)を支払うことが義務付けられています。

  • ①使用者と労働者が36協定を締結しなければ、使用者は労働者に1日8時間または週40時間を超える労働をさせることはできない
  • ②36協定締結の上、1日8時間または週40時間を超える労働について割増賃金を支払わなければならない

上記①②のルールは、業種にかかわらず適用されるため、トラック運転手であっても原則として残業代の支払い対象です。

本記事では、トラック運転手の残業代について、労働問題に強い弁護士が詳しく解説します。

弁護士紹介

近藤 敬 弁護士

東京地方裁判所労働専門部出身。そのキャリアから法律は勿論、裁判所の考え方に沿った証拠集め、相手方との交渉を得意としている。

労働事件以外では、労働法をテーマとした厚生労働省主催の講演にも多数登壇しており、また、新聞・ネットメディアからの取材対応や、テレビでも労働問題に詳しい弁護士として出演し、日本社会における適正な労働環境の構築に向けて日頃から発信をしている。

近藤弁護士

よくある「残業代は支払われない」とされる誤解

固定残業代(みなし残業代)に残業代は含まれている?

固定残業代(みなし残業代)が支給されている場合、その金額が残業代としてあらかじめ給与や年俸に含まれているとされます。
しかし、固定残業代(みなし残業代)を超過した部分についてはどうでしょうか?
例えば「給与●●万円(固定残業代●万円を含む)」と契約書に記載されていた場合、固定残業代を上回る時間外労働が発生した場合には、その超過分については、別途、割増賃金を支払う義務があります。

また、「給与●●万円(固定残業代を含む)」として、固定残業代がいくらか契約書に記載されていなかった場合は、上でも述べた「基本給と残業代の区別が不明確」に該当するため、残業代は発生します。

歩合制だから残業代は出ない?

トラック運転手の給料が、基本給の他に走行距離や配送件数に応じて変わる運送手当(歩合制)がつくことを理由に「残業代は出ない」とするケースがありますが、『1日8時間』または『週40時間』を超える労働については、歩合部分とは別に残業代が発生します。
したがって、「歩合制だから残業代は出ない」という認識は誤りです。

また、給与が売上の〇%などといった『完全歩合制(フルコミッション)』であっても、「正社員などの労働者」として雇用契約を結んでいる場合は、『1日8時間』または『週40時間』を超える労働について残業代が発生します。

荷待ち・積み下ろし・車両整備・点呼などは、労働時間ではないから残業代が出ない?

倉庫や荷主の都合で長時間の「荷待ち」が発生しても、「これは労働時間じゃないから残業代は出ない」とされることがあります。
しかし、『会社の指示・拘束下にある時間』は、実際に動いていなくても労働時間に該当する可能性が高いです。
なお、積み下ろし、車両整備や点呼など実際に作業をしている時間は当然、労働時間に該当しますので残業代が発生します。

請負契約、業務委託契約(個人事業主、フリーランス)だから残業代は出ない?

雇用契約ではなく「請負契約、業務委託契約(個人事業主、フリーランス)」として契約され、「労働者ではないから残業代は関係ない」と言われるケースがあります。
形式が請負、業務委託でも、勤務時間・業務内容・指揮命令の有無などの実態から労働者性が認められれば残業代請求が可能です。

原則、個人事業主やフリーランスは、労働基準法の「労働者」ではないため、残業代は出ません。
しかし、以下のようなケースでは、形式が個人事業主やフリーランスでも、実態は「労働者」として判断され、労働基準法の適用対象になり、残業代請求ができる可能性があります。

労働基準法上の「労働者」にあたるかの判断基準

(裁判例・厚労省通達に基づく総合判断

1. 会社からの指揮命令がある
  • 業務の開始・終了時間を決められている
  • 運行ルートや方法について細かく指示される
  • 休憩や休みのタイミングも指示されている
⇒ 自由な働き方ではなく、「雇用関係に近い」と判断されやすい
2. 会社の備品・車両・制服などを使用している
  • 車両は会社名義、燃料代も会社負担
  • 制服・業務用スマホなど支給されている
⇒ 会社の一部(労働者)として働いていると見なされやすい
3. 報酬が 労働時間や日数に応じて決まっている
  • 日当制・時間単位の報酬
  • 走行距離にかかわらず、勤務時間で給与が変わる
⇒ 請負報酬ではなく、賃金的性格が強いと評価されやすい
4. 自分で仕事を断る自由がない
  • 「断ったら次の仕事を回さない」と暗黙の圧力
  • ほぼ毎日、同じ会社・同じ業務内容で拘束されている
⇒ 自由な契約関係とは言えず、労働者性が強いと判断されやすい
5. 欠勤や遅刻でペナルティがある
  • 罰金や仕事減らしなど、実質的な制裁を受ける
  • 遅刻したら他の社員に代行させられる(代替要員の確保義務)
⇒ 会社が「使用者」として「労働者を管理している」と見なされやすい

その他のよくあるケース

  • 「自己申告制」の勤務管理で残業時間が過少に処理されているケース

    日報や手書きの運行記録などにより、勤務時間の申告が運転手まかせになっており、「残業時間を短く書け」と暗黙の圧力があることも。労働時間の管理は本来、使用者側(会社側)の義務であり、虚偽の申告をさせることは当然、違法です。
    申告と実態が食い違う場合、ドライブレコーダー、GPS、点呼記録などを証拠として集められれば、残業代請求が可能です。

  • 「残業していない」ことになっている(黙認・強制的なサービス残業)
    • ・点呼時間の前に車両準備をしていても、それは「出勤前」だからカウントしない
    • ・帰庫後の洗車・整備時間が記録されていない

    など、実際は働いていてもタイムカードや記録上は労働時間として扱われていないことがあります。
    法的には、「会社が残業を黙認していた」「実質的に業務として必要だった」場合は、黙示の指示=残業命令と見なされ、残業代が発生します。

過去の(退職後でも)残業代は取り戻せる?残業代請求の基本知識

退職後でも未払い残業代の請求は可能です。むしろ、在職中は勤務先内での見られ方を気にする人が多く、退職後に行う人が多い印象です。ただし、残業を証明する資料(働いた証拠)集めは、退職後だと難度が上がりますので、在職中に行うと良いでしょう。

残業代請求権の消滅時効の時効期間は3年です。
請求しないでいるとあなたの権利が徐々に失われていく結果となりますのでご注意ください。

残業を証明する資料

残業代を請求するにあたっては、まず「働いた証拠」を集めることが重要です。以下、働いた証拠となり得るものです。

証拠となるもの
  • タイムカード
  • メール・LINE
  • 勤怠管理アプリ
  • 労働時間管理ソフト
  • 日報・週報
  • 入退館(室)記録
  • 給与明細
  • 勤務記録
  • ボイスレコーダー
  • タコグラフ
  • 社内無線の履歴
  • 車載カメラの記録
  • 高速道路の利用履歴
  • シフト表・予定表
  • 雇用契約書
  • メモ・日記・備忘録
  • パソコンのログオン・ログオフ履歴
  • アルコール検査記録簿
  • など
まとめ:泣き寝入りせず、正しい知識をもって動けば残業代は取り戻せる
長時間労働を強いられ、残業代が支払われていないなら、それは違法な可能性があります。
いまや未払い残業代請求に関する相談は、多くの弁護士・法律事務所が無料で受けていますので、まずは相談だけでもすることをお勧めします。

解決事例

    安心の弁護士費用

    まず相談したい
    • ・相談料0円
    • ・電話、オンラインでのご相談も可能
    弁護士に依頼したい
    • 着手金0円

    ※事件処理に要する諸費用の実費(郵送料、印紙、交通費、その他)は、別途ご負担いただきます

    実は弁護士による会社との交渉のみで解決に至ることの方が多いです

    ここがポイント!
    • ご来所不要!電話・メール・郵送だけで未払い残業代を請求できます
    • 残業代請求に伴う相談(不当解雇、退職勧奨、パワハラなど)も同時にお受けできます。
    • ご家族に知られずに進めることも可能です。
    • お電話でのお問い合わせ
    • メールでのお問い合わせ

    解決までの流れ

    解決までの流れ

    請求先の会社と任意交渉(示談)による解決の場合、ご契約後に未払い残業代の金額を明記した請求書面を弁護士から送付し、請求先の会社と交渉を開始してから早ければ約2週間~2か月で任意交渉(示談)が成立します。 また、交渉によって解決しない場合は労働審判申立て、訴訟提起を検討していきます。

    未払い残業代請求について、もっと詳しく知りたい方はこちら

    残業代簡易計算ツール
    (個人情報入力不要)

    Q1
    現在、残業代請求先の会社の『退職日』から3年以内ですか?

    ※残業代請求先の会社に『在籍中』の場合も「YES」

    Q2
    入社月はいつですか?

    Q3
    退職月はいつですか?

    Q4
    月収(額面)はいくらですか?

    ※手取りではなく、残業代、各種手当等のすべてを除いた金額になります。

    万円

    Q5
    1ヶ月のおおよその残業時間は何時間ですか?

    時間

    Q6
    1ヶ月あたりの残業代は、いくら支給されていますか?

    ※固定残業代を含む

    万円
    未払い残業代を計算する

    あなたの場合、およそ0

    上記の残業代が未払いになっている可能性があります。
    未払いの残業代は請求できます。
    「この金額を取り戻したい」という方は弁護士へご相談ください。

    入力された対象期間の未払い残業代においては、残念ながら、現在請求できるものはないかと思われます。

    なお、残業代簡易計算ツールでの計算結果は、あくまでも簡易的な計算による目安を示すものです。
    実際に請求できる金額は、勤務先の就業規則、勤務先との契約内容等によって異なります。

    ご注意

    残業代請求の時効は3年です

    未払い残業代は発生日(本来支給される日)から3年経つと時効が成立します。(請求できなくなります)

    ※2020年3月31日以前の発生日の残業代の時効は2年です。

    免責事項
    • 1. レイ法律事務所(以下、「弊事務所」といいます)が、作成・提供する残業代簡易計算ツール(以下、「本ツール」といいます)の計算結果は、あくまでも簡易的な計算による目安を示すものです。 実際に請求できる金額は、勤務先の就業規則、勤務先との契約内容等によって異なります。
    • 2. 弊事務所は、本ツールにて提供する情報等に関して、その正確性、妥当性、有用性、最新性等に対して一切の保証をいたしません。
      したがって、本ツールにて提供する情報等に関連して、本ツールをご利用された方または第三者が損害を被った場合におきましても、弊事務所は一切の責任を負担いたしません。
    • 3. 本ツールをご利用の方は、上記1および2の内容を予めご承諾いただいたものとみなしますのでご了承ください。

お気軽にご相談を

労働トラブルは事態が悪化する前に迅速に解決することがポイントです。
なるべく早くお気軽にご相談ください。