薬剤師も残業代はもらえる?労働問題に強い弁護士が詳しく解説!

職業:薬剤師

「定時以降も毎日1時間以上働いているのに、給料はずっと同じ」
「『うちは固定残業代込み』と言われて、詳細がよくわからない」

残業しているはずなのにそれが給与に反映されず、不安や疑問を抱えながら働いていませんか?
薬剤師という専門職であっても、労働基準法では、『1日8時間』または『週40時間』を超える労働について、勤務先(使用者)は、36(サブロク)協定を締結したうえで、残業代(割増賃金)を支払うことが義務付けられています。

  • ①使用者と労働者が36協定を締結しなければ、使用者は労働者に1日8時間または週40時間を超える労働をさせることはできない
  • ②36協定締結の上、1日8時間または週40時間を超える労働について割増賃金を支払わなければならない

上記①②のルールは、業種にかかわらず適用されるため、薬剤師であっても原則として残業代の支払い対象です。

本記事では、薬剤師の残業代について、労働問題に強い弁護士が詳しく解説します。

弁護士紹介

近藤 敬 弁護士

東京地方裁判所労働専門部出身。そのキャリアから法律は勿論、裁判所の考え方に沿った証拠集め、相手方との交渉を得意としている。

労働事件以外では、労働法をテーマとした厚生労働省主催の講演にも多数登壇しており、また、新聞・ネットメディアからの取材対応や、テレビでも労働問題に詳しい弁護士として出演し、日本社会における適正な労働環境の構築に向けて日頃から発信をしている。

近藤弁護士

職場ごとで起こり得る薬剤師の残業

まず、職場ごとで薬剤師の残業が発生する原因を見てみましょう。

病院勤務 外来処方箋の処理、病棟業務(入院患者の薬剤管理や服役指導)、日勤における夜勤の薬剤師への引継ぎ、夜勤明けの残業などで時間外労働が常態化
ドラッグストア 営業時間の業務の他、閉店後の棚卸・発注処理などで残業が常習化
調剤薬局 患者対応や薬歴管理で残業が発生しがち
製薬会社 途中で止められない実験とそのデータ解析やレポート作成、その他にもトラブル対応、行政提出資料の期限対応など残業の原因は多岐にわたる

よくある「残業代は支払われない」とされる誤解

年棒制だから残業代は発生しない?

事前に決められた年俸に基づき、毎月一定額を給与として受け取っている場合でも残業代を受け取れることはあります。
これは勤務先(使用者)と労働者の間の契約によるところで、以下のような場合には、残業代が発生する可能性があります。

  • ・年俸に残業代が含まれていない
  • ・基本給と残業代の区別が不明確
  • ・年棒に残業代が含まれているが、実際には、残業代以上の残業をしている

一般的に「年俸制だから残業代は出ない」という認識は誤りです。勤務先(使用者)との契約の内容をチェックしてみましょう。

固定残業代(みなし残業代)に残業代が含まれている?

固定残業代(みなし残業代)が支給されている場合、その金額が残業代としてあらかじめ給与や年俸に含まれているとされます。
しかし、固定残業代(みなし残業代)を超過した部分についてはどうでしょうか?
例えば「給与●●万円(固定残業代●万円を含む)」と契約書に記載されていた場合、固定残業代を上回る時間外労働が発生した場合には、その超過分については、別途、割増賃金を支払う義務があります。

また、「給与●●万円(固定残業代を含む)」として、固定残業代がいくらか契約書に記載されていなかった場合は、上でも述べた「基本給と残業代の区別が不明確」に該当するため、残業代は発生します。

裁量労働制だから残業代は発生しない?

薬剤師の業務は専門性が高く、裁量労働制(正式名称:専門業務型裁量労働制)であると誤解を受けがちです。
しかし、専門業務型裁量労働制では20の業務のみが対象として定められており、薬剤師の業務はその対象に含まれていません。
したがって、「薬剤師は裁量労働制だから、残業代は発生しない」という認識は誤りです。

業務委託契約、フリーランス契約だから残業代は発生しない?

勤務先との契約が「雇用契約」ではなく「業務委託契約」「フリーランス契約」などである場合は、労働基準法の適用外となるため、原則、残業代の支払い義務はありません。
しかし、「業務委託契約」「フリーランス契約」とされる働き方には以下のような実態が必要となります。

  • ・タイムカード管理などでの労働時間の拘束がなく自由度が高い、業務内容も自身に裁量がある
  • ・指揮命令を受けない使用者と対等な業務提供者

業務委託契約やフリーランス契約という名称の契約を締結していたとしても、実態が雇用関係に近い場合は、雇用契約とみなされて残業代が発生する可能性があります。

管理監督者・管理職だから残業代は発生しない?

一部病院や薬局では、薬剤師を管理薬剤師・薬局長・店舗責任者といった管理職扱いとし、残業代を支払わない運用をしていることがあります。しかし、そういった運用も以下のような「管理監督者の定義」を満たさなければ違法です。

  • ・店舗の人事権・採用決定・シフト決定などに権限を持っているか
  • ・勤怠(出退勤)を自分で決定できる自由がある(決まったシフト通りに勤務している場合は対象外)
  • ・他の一般職員よりも高額な給与が支払われているかどうか
  • など

「管理薬剤師」は法律上の「管理職」とは別物です。
「管理薬剤師」とは、薬機法に基づき、薬局・店舗における薬品管理や行政対応などの責任を負う薬剤師です。
これはあくまで薬機法上の役割であり、労働基準法上の「管理監督者」とは異なります。

管理薬剤師・薬局長・店舗責任者など「役職がある=管理監督者・管理職」というわけではなく、上のようなことに該当していなければいわゆる「名ばかり管理職」として、残業代を請求できる可能性があります。

「勉強会・研修」「所定時間外の業務」は「自己研鑽」扱いとなり、残業代が発生しない?

以下のような時間帯は、しばしば「労働時間ではないので、残業代は発生しない」として取り扱われがちです。

  • ・閉店後の勉強会や社内研修、講演会参加
  • ・薬歴の記入や帳簿整理
  • など

しかし、実態として業務命令があったり、職務に必要な内容であれば労働時間に該当し、残業代は発生する可能性があります。

その他のよくある誤解

  • 「サービス残業が当然」という職場の雰囲気
    医療系の職場では「患者のためだから」「皆やっているから」として、残業が当然視される風潮がありますが、それは労働基準法上まったく正当な理由になりません。
  • 同僚や先輩がもらっていないため「もらえるはずがない」と思い込んでいる
    職場全体がサービス残業を当然視していると、自分も請求できないと誤解しているケースがあります。
    実際には、違法な労働慣行であっても、労働者は残業代を請求する権利があります。
  • 「残業していない」ことになっている(勝手に勤務時間を修正されている)
    中には、出勤簿を勝手に修正され、定時退社扱いにされてしまうケースもあります。これは完全に違法で、証拠を確保すれば請求可能です。
  • 残業代は出ないけど「代休」で調整されている
    代休を与えることで残業代を支払わない職場もありますが、法定労働時間を超えた時間外労働に対しては賃金支払いが原則です。
    代休は労働時間の調整であり、残業代の代替にはなりません。

過去の(退職後でも)残業代は取り戻せる?残業代請求の基本知識

退職後でも未払い残業代の請求は可能です。むしろ、在職中は勤務先内での見られ方を気にする人が多く、退職後に行う人が多い印象です。ただし、残業を証明する資料(働いた証拠)集めは、退職後だと難度が上がりますので、在職中に行うと良いでしょう。

残業代請求権の消滅時効の時効期間は3年です。
請求しないでいるとあなたの権利が徐々に失われていく結果となりますのでご注意ください。

残業を証明する資料

残業代を請求するにあたっては、まず「働いた証拠」を集めることが重要です。以下、働いた証拠となり得るものです。

証拠となるもの
  • 出退勤の記録(タイムカードなど)
  • メール・LINE
  • 勤怠管理アプリ
  • 労働時間管理ソフト
  • 日報・週報、入退館(室)記録
  • 給与明細、勤務記録
  • ボイスレコーダー
  • シフト表・予定表
  • 雇用契約書
  • メモ・日記・備忘録
  • パソコンのログオン・ログオフ履歴
  • など
まとめ:薬剤師こそ「働いた分の対価」を正しく受け取ろう
薬剤師の仕事は、人の命と健康を守る大切なもの。その責任は重く、また、業務も多く、残業は発生しがちです。働いた分の対価である残業代は、薬剤師こそしっかりと受け取るべきです。
慣習や勤務先(使用者)側から言われることは気にせず、正しい知識と手段を持てば、残業代の請求は可能です。
いまや未払い残業代請求に関する相談は、多くの弁護士・法律事務所が無料で受けていますので、まずは相談だけでもすることをお勧めします。

安心の弁護士費用

まず相談したい
  • ・相談料0円
  • ・電話、オンラインでのご相談も可能
弁護士に依頼したい
  • 着手金0円

※事件処理に要する諸費用の実費(郵送料、印紙、交通費、その他)は、別途ご負担いただきます

実は弁護士による会社との交渉のみで解決に至ることの方が多いです

ここがポイント!
  • ご来所不要!電話・メール・郵送だけで未払い残業代を請求できます
  • 残業代請求に伴う相談(不当解雇、退職勧奨、パワハラなど)も同時にお受けできます。
  • ご家族に知られずに進めることも可能です。
  • お電話でのお問い合わせ
  • メールでのお問い合わせ

解決までの流れ

解決までの流れ

請求先の会社と任意交渉(示談)による解決の場合、ご契約後に未払い残業代の金額を明記した請求書面を弁護士から送付し、請求先の会社と交渉を開始してから早ければ約2週間~2か月で任意交渉(示談)が成立します。 また、交渉によって解決しない場合は労働審判申立て、訴訟提起を検討していきます。

未払い残業代請求について、もっと詳しく知りたい方はこちら

残業代簡易計算ツール
(個人情報入力不要)

Q1
現在、残業代請求先の会社の『退職日』から3年以内ですか?

※残業代請求先の会社に『在籍中』の場合も「YES」

Q2
入社月はいつですか?

Q3
退職月はいつですか?

Q4
月収(額面)はいくらですか?

※手取りではなく、残業代、各種手当等のすべてを除いた金額になります。

万円

Q5
1ヶ月のおおよその残業時間は何時間ですか?

時間

Q6
1ヶ月あたりの残業代は、いくら支給されていますか?

※固定残業代を含む

万円
未払い残業代を計算する

あなたの場合、およそ0

上記の残業代が未払いになっている可能性があります。
未払いの残業代は請求できます。
「この金額を取り戻したい」という方は弁護士へご相談ください。

入力された対象期間の未払い残業代においては、残念ながら、現在請求できるものはないかと思われます。

なお、残業代簡易計算ツールでの計算結果は、あくまでも簡易的な計算による目安を示すものです。
実際に請求できる金額は、勤務先の就業規則、勤務先との契約内容等によって異なります。

ご注意

残業代請求の時効は3年です

未払い残業代は発生日(本来支給される日)から3年経つと時効が成立します。(請求できなくなります)

※2020年3月31日以前の発生日の残業代の時効は2年です。

免責事項
  • 1. レイ法律事務所(以下、「弊事務所」といいます)が、作成・提供する残業代簡易計算ツール(以下、「本ツール」といいます)の計算結果は、あくまでも簡易的な計算による目安を示すものです。 実際に請求できる金額は、勤務先の就業規則、勤務先との契約内容等によって異なります。
  • 2. 弊事務所は、本ツールにて提供する情報等に関して、その正確性、妥当性、有用性、最新性等に対して一切の保証をいたしません。
    したがって、本ツールにて提供する情報等に関連して、本ツールをご利用された方または第三者が損害を被った場合におきましても、弊事務所は一切の責任を負担いたしません。
  • 3. 本ツールをご利用の方は、上記1および2の内容を予めご承諾いただいたものとみなしますのでご了承ください。

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