固定残業代を支給しているため、残業代を支払う義務はないとし、会社が支払を拒否

ご相談内容

会社から給与改定に伴い固定残業手当の支給を導入すると説明を受け、固定残業手当の支給を受けましたが、固定残業手当と同等額、基本給が下がっており、実質的に支給額は変わらないまま、残業をしても固定残業手当に含まれていると言われて、支払ってくれません。

解決までのポイント

弁護士介入後

ご依頼者様が持っていた固定残業手当導入の同意書、入社時の雇用契約書、同手当導入前後の給料明細書等の資料を確認したところ、ご依頼者様は、会社との間で、固定残業手当導入に関して個別の同意書を締結していました。会社は、この個別同意があることを盾にして、本来支給すべき残業代について、支払義務はないとしていました。
しかし、実質的には、固定残業手当の導入によって、月に30時間程度残業をしても残業代は支払われない一方で、基本給は同手当相当額減額されていたことから、ご依頼者様に支給される総額は変わっておらず、実際に労働した時間で換算すると、1時間あたりの賃金単価が大幅に下がっていることが分かりました。
そのため、会社に対し、労働者との間で個別同意を締結していたとしても、労働者に対し、同締結が不利益変更になることの説明を怠っていること等から、有効に成立したものとはいえず、労働条件の不利益変更に該当し、当該固定残業手当の有効性は認められないこと等を説明し、粘り強く交渉をおこないました。