薬剤師
対象となる処分等
薬剤師の方の場合は、以下の処分等となる可能性があります。
- ① 厳重注意
- ② 戒告
- ③ 3年以内の業務の停止
- ④ 免許の取消し
※①から④の順に重い処分となります。
※①は行政処分ではなく、行政指導です。
処分の根拠・基準
処分の根拠
薬剤師に対する行政処分は、薬剤師法に基づき行われます。
(参考条文)薬剤師法(抜粋)
(免許の取消し等)
第八条 薬剤師が、成年被後見人又は被保佐人になつたときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。2 薬剤師が、第五条各号のいずれかに該当し、又は薬剤師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
- 戒告
- 三年以内の業務の停止
- 免許の取消し
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
- 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
- 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
- 罰金以上の刑に処せられた者
- 前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪又は不正の行為があつた者
このように、薬剤師の方は、罰金以上の刑を受けた場合には、医道審議会に諮られることとなります(薬剤師法5条4号)
そのため、罰金以上の刑を回避するための弁護活動が重要となってまいります。
警察から連絡があった場合や警察から取調べを受けた場合等には、早期に弁護士にご相談ください。
処分の基準
一般的に、処分内容の決定にあたっては、以下の2点が考慮されます。
① 判決内容
刑事処分の量刑、刑の執行が猶予されたか否か等
② 薬剤師に求められる倫理に反する行為かどうか
この点については、基本的に以下の場合が該当するとされています。
- ア)薬剤師が業務を行うにあたって当然に負うべき義務(処方せん応需義務、処方せんに基づく適正な調剤、必要な医師等への疑義照会、薬剤交付時の情報提供、薬剤服用歴への真実の記載等)を果たしていない場合
- イ)業務を行う機会を利用したり、薬剤師としての身分を利用したりした場合
- ウ)他人の生命・身体を軽んずる行為をした場合
- エ)実際の業務を通じて、自己の利潤を不正に追及する行為をした場合(業務との直接の関係を有しない場合を含む)
さらに、処分内容の決定にあたっては、各犯罪によって考慮される事項が異なります。
処分の例
平成25年11月医道審議会薬剤師分科会薬剤師倫理部会議事概要答申の概要
- 免許取消:1件(殺人未遂1件)
- 業務停止2年:1件(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反1件)
- 業務停止1年:1件(業務上過失致死1件)
- 業務停止6月:1件(建造物侵入・窃盗1件)
- 業務停止3月:2件(麻薬及び向精神薬取締法違反・薬事法違反1件、調剤報酬不正請求1件)
- 業務停止2月:4件(麻薬及び向精神薬取締法違反・調剤報酬不正請求2件、麻薬及び向精神薬取締法違反・薬事法違反・調剤報酬不正請求2件)
- 厳重注意:1件