薬剤師┃処分内容の決定(犯罪類型別)

1 ) 薬剤師法違反(無資格調剤、処方せん応需義務違反など)

  • 基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 国民の健康な生活を確保する任務を怠った犯罪として、重い処分とする。

2 ) 医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等その他の身分法違反(無資格医業、無資格者の関係業務の共犯等)

  • 基本的には、司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 医療の担い手の一員として自らの任務を怠ったもの等として、重い処分とする。

3 ) 薬事法違反(医薬品の無許可販売又はその共犯、医薬品の製造販売及び製造に関する管理不行届等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 国民の健康を危険にさらす行為であることから、重い処分とする。

4 ) 麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反(麻薬、向精神薬、覚せい剤及び大麻の不法譲渡、不法譲受、不法所持、自己施用等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 麻薬等の薬効の知識を有し、その害の大きさを十分認識しているにも関わらず、自ら違反したということに対しては、重い処分とする。

5 ) 殺人及び傷害(殺人、殺人未遂、傷害(致死)、暴行等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 殺人、傷害致死といった悪質な事案は当然に重い処分とする。
  • 暴行、傷害等は、薬剤師としての立場や知識を利用した事案かどうか、事犯に及んだ情状などを考慮して判断する。

6 ) 業務上過失致死(致傷)

①交通事犯(過失運転致死、過失運転致傷、道路交通法違反等)

  • 自動車等による業務上過失致死(傷害)等については、薬剤師に限らず不慮に犯し得る行為であり、また薬剤師としての業務と直接の関連性はなく、その品位を損する程度も低いことから、基本的には戒告等の取り扱いとする。
  • ただし、救護義務を怠ったひき逃げ等の悪質な事案については、行政処分の対象とし、行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、人の命や身体の安全を守るべき立場にある薬剤師としての倫理が欠けていると判断される場合には、重めの処分とする。

②医療過誤・調剤過誤(業務上過失致死、業務上過失傷害等)

  • 司法処分においては、薬剤師としての過失の度合い及び結果の大小を中心として処分が判断される。
  • 行政処分については、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 明らかな過失による医療過誤や調剤過誤、繰り返し行われた過失など、薬剤師として通常求められる注意義務が欠けているという事案については、重めの処分とする。
  • 薬剤師が従事する施設、機関、組織等の管理・業務の体制、他の医療従事者における注意義務の程度、生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して、処分の程度を判断する。

7 ) 猥せつ行為(強制猥せつ、売春防止法違反、児童福祉法違反、青少年育成条例違反等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 特に、自らの業務の機会に薬剤師としての立場を利用した猥せつ行為などは、国民の信頼を裏切る悪質な行為であり、重い処分とする。

8 ) 贈収賄(収賄罪、贈賄罪等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 特に薬剤師としての地位や立場を利用した事犯など悪質と認められる事案は、重めの処分とする。

9 ) 詐欺・窃盗(詐欺罪、詐欺幇助等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 特に、薬剤師としての立場を利用して、虚偽の薬剤を販売・授与するなどの方法により詐欺罪に問われるような行為は、業務に関連した犯罪であり、薬剤師の社会的信用を失墜させる悪質な行為であるため、重い処分とする。

10 ) 文書偽造(処方せんの偽造〔私文書偽造〕、虚偽有印公文書偽造、製造販売に係る業務管理文書偽造等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 特に、処方せんの偽造により医薬品を横流しした場合など、薬剤師としての立場を利用した事犯等悪質と認められる事案は、重めの処分とする。

11 ) 税法違反(所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反等)

  • 基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
  • 処方せん調剤に基づく調剤報酬等による収入に係る脱税などについては、重めの処分とする。

12 ) 診療報酬・調剤報酬の不正請求(調剤報酬不正請求、保険薬剤師の取消し等)

  • 調剤報酬の不正請求等により保険薬剤師の登録の取消処分を受けた薬剤師については、当該健康保険法等に基づく行政処分とは別に薬剤師法による行政処分を行う。
  • 調剤報酬の不正請求により保険薬剤師の取消しを受けた事案については、当該不正請求を行ったという事実に着目し、不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とする。
  • ただし、特に悪質性の高い事案の場合には、それを考慮した処分の程度とする。
  • また、健康保険法等の検査を拒否して保険薬剤師の取消しを受けた事案については、検査拒否という行為が、社会保険制度の下に医療を行う医師、歯科医師に求められる職業倫理から到底許されるべきでないことから、より重い処分を行うこととする。

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