保健師・助産師・看護師┃処分内容の決定(犯罪類型別)
1 ) 身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反
- 行政処分に当たっては、司法処分の量刑の程度に関わらず、他者の心身の安全を守り国民の健康な生活を支援する任務を負う看護師等が、自らに課せられた基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらすような法令違反を犯した場合は、その責務を怠ったことを考慮して重い処分を検討するべきである。
- 保健師助産師看護師法第15条の2の規定に基づき、厚生労働大臣より保健師等再教育研修の命令を受けたにもかかわらず、妥当な理由がないまま修了せず、その後の催促においても対応がない場合においては、看護師等としての倫理を保持せず、又は必要な知識及び技能に関する研修を受けないまま業務に従事することによる国民の安全や健康への影響等を考慮した処分の程度とする。
2 ) 麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反
- 麻薬等の害の大きさを十分認識している看護師等が違法行為を行ったこと、麻薬等を施用して看護業務を行った場合には患者の安全性が脅かされること、さらに、他の不特定の者へ犯罪が伝播する危険があること等を考慮して、重い処分を検討するべきである。
3 ) 殺人及び傷害
- 特に、殺人を犯した場合は基本的に免許取消の処分がなされるべきである。
- ただし、個々の事案の様態や原因を考慮に入れる。
4 ) 業務上過失致死傷(交通事犯)
- 適切な救護措置をとらなかったことや、通報もしなかったという事案は悪質であり、行政処分に当たっては、看護師等としての資質及び適性を欠くものでないかどうかを十分に検討し、相当の処分を行うべきである。
5 ) 業務上過失致死傷(医療過誤)
- 行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。
- 明らかな過失による医療過誤や繰り返し行われた過失など、看護師等として通常求められる注意義務が欠けているという事案については、重い処分を検討するべきである。
- ただし、医療過誤は、様々なレベルの複合的な管理体制上の問題の集積によることも多く、一人の看護師等の責任に帰することができない場合もある。看護師等の注意義務違反の程度を認定するに当たっては、当然のことながら、病院・診療所・助産所等の管理体制や医療体制、他の医療従事者における注意義務違反の程度や、生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して処分の程度等も勘案する必要がある。
- 再犯の場合は、看護師としての資質及び適性を欠くものでないかどうかを特に検討すべきである。
6 ) 危険運転致死傷
- 司法処分において、危険運転による死傷事犯を故意犯として捉え、法定刑が大幅に引き上げられたことを当然考慮する。
7 ) わいせつ行為等(性犯罪)
- 特に、看護師等の立場を利用して行った事犯や、強姦・強制わいせつ等、被害者の人権を軽んじ、心身に危害を与えた事犯については、悪質であるとして相当に重い処分を行うべきである。
8 ) 詐欺・窃盗
- 特に、患者の信頼を裏切り、患者の金員を盗むなど看護師等の立場を利用して行った事犯(業務関連の事犯)については、看護師等としての倫理性が欠落していると判断され、重い処分を検討するべきである。
9 ) 診療報酬及び介護報酬の不正請求等
- 行政処分の程度は、不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とする。
- ただし、特に悪質性の高い事案の場合には、それを考慮した処分の程度とする。
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