【弁護士コラム】いじめの定義に従った厳密な対応を。

2018年2月13日

広島県女子生徒自死事件について

昨年7月、中学3年生の女子生徒がいじめを受けていたとのメモを残して、校舎から転落死した事件がありました。

上記の事件の報道によれば、女子生徒やその家族は、学校に相談していたものの、「いじり」「からかい」と捉えて、「いじめという認識は持たなかった」とのことです。

しかし、このような学校の考え方自体が、大きな間違いと言わざるを得ません。

いじめの定義とは

現在の、「いじめ」という言葉の定義は、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とされています。

要するに、子ども自身が「嫌だな」と思うことがいじめに該当する。そう考えてもらって、この定義に反するというところはありません。

そして、いじめであれば、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめの事実調査や報告をすることが定められています。きちんとした事実調査などが行われることで、その後に発生する痛ましい結果を防ぐ可能性も出てきます。

上記の定義からすれば、本件は、相談を受けた段階で、まずは「いじめ」であるとして、事実調査や対応を考えるべき事態でした。それをあいまいな「いじり」「からかい」といった言葉で矮小化してしまうのは、SOSを発信した児童を突き放してしまうことにもなりかねません。

いじめ防止対策推進法上の「いじめ」を本人が「嫌だな」と感じればあたると広い解釈にしたのは、「いじめ」を「いじり」「からかい」と矮小化し、大人が相手にしないことによって、痛ましい事件が後を絶たなかったことに対する歯止めのためでした。先生方には、こういったいじめの定義を知って、活動していただきたいところです。

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