【弁護士コラム】子どもの自殺の危険性を高める最悪の季節 9月は要注意

2017年8月30日

子どもの自殺の危険性を高める最悪の季節 9月は要注意

子どもの自殺率が高まる時期といわれるのが9月、それも夏休み明けです。 厚労省の自殺対策白書における統計結果において、9月1日の子どもの自殺件数が非常に増えることが指摘されています。

このような結果となる理由としては、長期休暇明けに、学校生活に戻る際のストレスによるものとの指摘がされているところです。

■では、自殺の原因は何でしょうか。

いじめが原因での自殺という認定がされずらいことについては、実際に学校がいじめの事実を認めないことがあるため、正確かどうかは疑問ではありますが、原因に多いとされているのが学力や進路の問題です。

私が以前関わった中でも、成績がいいことや、周りから評価される学力であることが自分の生きる理由であって、それを失ったら意味がないと考えていた生徒さんがいました。こうした場合、外見上は非常に優等生であり、問題が見えにくいことが、自傷行為等への危険性をより高めてしまうように感じます。

■防ぐためには

正解はなく、個別の事情によるとしか言いようがないのだと思いますが、学業や進路の問題で命を失うことはあまりにも惜しいことだと感じます。

私の考えでしかありませんが、本来、学業や進路は、自分の人生を「より豊か」に生きるためのものであり、「こうでなくては生きるに値しない」などというものではないはずです。こうした問題を解決するには、視野を広げるきっかけを大人が作る必要があると感じています。

先ほどの例でもそうでしたが、子どもは大人になったことがないため、視野はどうしても狭いです。「足が速い子がモテる」というのは、ほぼすべての大人たちが子どものころに経験し、大人になったらごく一部の例外を除いて当てはまらないことが分かる子どもの視野の例の一つかと思います。

その子どもたちの視野の中で、「学力が落ちた」「自分はもうダメだ」「恥ずかしい、生きている甲斐がない」などと考えてしまうようなのですが、この考えの裏には、学力の占めるウエイトが、彼らの人生の大部分になっていることが分かります。

しかし、試験は、学校や塾といった限られた範囲で、先生という限られた人が限られた時間の中で作った試験で、ごく一部の能力しか測れない中で能力を比べているだけであり、そこでいい点を取ろうが、悪い点を取ろうが、結果次第で人として立派になるわけでも、点数が悪いから急に悪い人間になるわけでもありません。いい点を取った途端に偉そうになることが問題なように、悪い点を取ってもあきらめる必要はないことが分かります。

学力は、「足が速い子がモテる」と同じような子ども時代のローカルルールであって、それだけで人生をあきらめるような理由にはならないはずです。その先を大人は子どもに見せることができる必要があるといえるでしょう。

■子どもとの話し方

特に反抗期の子は、親に弱みを見せないように必死になります。場合によっては、「あなたは大丈夫だと思うけど、もし、周りに困っている子がいたら少し声かけてあげな」というように、誰かの話にしながら話すと、入りやすいことがあります。

夏休みが明ける前の今の時期は、一つのことに入れ込んでしまって、狭くなりやすい彼らの視野に、新しい視点を入れてあげる時期にはもってこいの時期かもしれません。

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