高次脳機能障害について
高次脳機能障害の特徴
学校事故によって頭部を強打するなどして、脳が損傷を受け、一定期間以上の意識障害が発生し、基本的には画像(CT・MRI)などによる診断で判明します。
※意識障害の程度が比較的軽度な場合や、画像上明らかな異常所見がない場合などでも、高次脳機能障害の症状が生じる場合もあります。
学校事故によって発生する脳外傷による高次脳機能障害(後遺障害)については、以下のような症状を伴うことがあります。
認知障害の症状
記憶力・記銘力障害
(例)すぐ忘れる。情報を覚えることができない。
注意・集中力障害
(例)ミスが多くなる。気が散って集中できない。
遂行機能障害
(例)物事を計画的に段取り良く実行することができない。他人による指示がないと行動できない。
人格変化を伴う症状
(例)
・感情がコロコロ変わる。すぐ怒ったりする(易怒性)。不機嫌になりやすい。
・攻撃的で、暴力をふるったりや暴言をはいたりする。
・子どもっぽいふるまいをする(幼稚性)
・羞恥心の欠如
・饒舌(多弁)になる
・被害妄想や病的なまでの他人に対する嫉妬
高次脳機能障害の判断材料
①頭部に強い衝撃が加わったこと
外傷による脳の器質的損傷がなく、高次脳機能障害が疑われる症状が出ている場合は、非器質性精神障害として、高次脳機能障害とは別の後遺障害の判断がなされることになります。
②脳が衝撃を受けたこと(脳外傷)を裏付けるような頭部の画像所見があること(CTやMRIなど)
・びまん性軸索損傷を示唆(受傷直後の画像から、脳内に点状出血痕やくも膜下出血などがわかる場合など)する画像所見
※びまん性軸索損傷には、受傷してすぐ発生するもの(一次性びまん性脳損傷)と、受傷後しばらく経過してから発生するもの(二次性びまん性脳損傷)があります。
・局在性脳損傷(脳挫傷、頭蓋内血腫)などを示す画像所見
・脳室拡大・脳萎縮の画像所見※受傷当初の画像と、それ以降のものを比較することで、脳室拡大や脳萎縮の有無を確認できる場合があります。
③事故後にある程度の意識障害があること
事故後に意識障害がない場合や、たとえ意識障害があった場合でも、その時間(期間)が短く、程度が軽い場合には、判断の対象から外れる場合があります。