【弁護士コラム】どんなところでいじめは起こるの?
■どんなところでいじめは起こるの?
学校生活で子どもに起こる問題として、いじめはたびたび取り上げられます。学生時代にいじめられた記憶は何十年経っても残り、人格を歪めてしまうこともあり、許せない行為です。
ここ数年、スマホ等のテクノロジーの進化によっていじめの方法も変化してきました。例えば、LINE等のSNSによるいじめの相談が多く見受けられます。クラスのグループチャットで特定の子どもだけ無視をしたり、きつい言葉を浴びせたり……。
SNSによるいじめは、いつも持ち歩いているスマホによってなされるため、学校に行かない休日でも続いてしまうことがあります。
とはいえ、学校という空間でいじめ行為が行われることも依然として存在します。そのため、SNS等のネット上、現実の学校と時間・場所を問わず、いじめが起きてしまっているのです。
■いじめをなくすにはどうしたらよいでしょうか?
①子どもへの法教育
大人でも子どもでも、文章によるコミュニケーションは、相手の顔や態度が見えないため、難しいものです。SNSいじめの背景にあるものは、家庭や社会環境等様々な要因が考えられますが、なんといっても他者を尊重する気持ちの希薄さと同時に、法律に対する認識が欠けていることが原因の一つだと思います。
仕事柄、様々な子どもたちと話していると、「A君はいつも人の話を聞かない。だから叩いた。」「あいつは空気が読めない。だからやられて当然。」と言った言葉を聞きます。ここには、『(自分にとって)悪い奴はいじめられて当然』と気持ちが出ていると思われます。実際、いじめ予防授業でも「いじめられっ子にも原因がある」とする子どもはかなり多いのです。
しかし、法律上の評価でいえば、話を聞かない人も、空気を読めない人も何か犯罪をしているわけではありません。むしろ、そのような人に対して、いじめをしてしまった子どもこそが暴行・侮辱といった犯罪に当たる行為をしてしまっているのです。 こういった理解を法教育などにより身に着けていってほしいと常々感じています。
②教師への人権教育
一方で、鈴木智之、『学校における暴力の循環と「いじめ」 : 『大学生を対象にした回想形式の調査結果を起点として』、法政大学『社会労働研究』第45巻2号掲載の調査結果によれば、体罰のある環境では、いじめも増加するという相関関係がある可能性が指摘されています。
あくまでも個人の推測になりますが、教師が体罰を行うところを見ていた生徒は、自分の価値観を教育として他人に押し付ける際に、教師のやり方を使って体罰を使うのではないかとさえ感じます。 先日のコラム(「体罰教師の責任と問題点」)でも書きましたが、体罰は学校教育法により明文で禁止されている行為です。 法律に対する認識は何も子どもだけが欠けているというのもではなく、教師も法教育などを受けることは必要と思われます。
■ 法教育はどこでやってくれるの?
人格を形成する大事な学生時代にいじめにあうことは、つらい記憶をずっと引きずることになるばかりか、人格も歪んでしまう危険性をはらんでおり、いじめは決して許されない行為です。
いじめの加害者やその対応を十分にしなかった学校は、損害賠償を請求されることもあり得ます。
ですから、やはりいじめの被害者にも加害者にもならないことが一番です。 子どもに対する法教育は、いじめ防止授業などと題して、弁護士が行います。各弁護士会でも募集しているほか、私を始め、弊所の弁護士も実施実績がありますので、ぜひお声かけください。
また、生徒に対する法教育に加え、先生に対する法教育講座についても、当事務所において行っております。ご希望がございましたら、弊所にぜひご相談ください。