学校における事故の相談
- ① 野球部の部活動練習中に、打球が目に直撃した
- ② 廊下で友人と激突し、歯が折れてしまった
- ③ 理科の授業で実験中、手に火傷をしてしまった
このような学校管理下の範囲において起きた事故及び学校施設の使用をめぐって起きた事故を学校事故といい、通常の事故とは異なる特殊性があります。
事故発生から解決までの流れ
学校事故Q&A
治療費について
どうしてけがをしました?
スポーツ振興センターの災害共済給付制度について
日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度とは、生徒が学校の管理下で「ケガ」などをしたときに、 保護者の方に給付金(災害共済給付)を支払う制度です。
治療費について、交通事故のように、けがをさせた人に払ってもらうことができますが、学校内の事故については、スポーツ振興センターから支払ってもらうこともできます。
スポーツ振興センターの災害給付制度では、基本的には保険適用可能な治療に関する費用は給付されます。自由診療の場合には、保険適用外の治療として給付金が支払われない可能性があるので、注意が必要です。
事故が起きたらやっておきたい調査
事故状況について
学校内での事故の場合には、警察が関与する刑事事件でもない限り、多くの場合には学校の先生がまず事故の内容を調べることになります。
事故についての言い分が違う場合には、事故の状況についてしっかりと調査をしてもらう必要があります。学校の調査能力には、限界がありますが、その中でも真実に近づいてもらうために、家族にもできることがあります。
まずは、本人の話をしっかりと聞き取りましょう。この時に、事実関係を正確に聞き取るには、時間や場所、けがの部位、事故があった時の位置関係等を詳細に聞き取る必要があります。
周囲の人の証言を集める
特に、本人の話を聞く時にも関わりますが、何があったのか、誰が現場にいたのか、見ている子がいるのかどうかは非常に大事なことです。
調査の結果を先生に伝える
調べた話を前提に、学校に説明を行う必要があります。この時には、書面によって提出することができると、しっかりと事実関係を伝えることができます。
聞き取りをお子さんから行うことは意外と難しいことです。特にお子さんは、誘導尋問にかかりやすかったり、親御さんや、先生からの質問に対し、思わず事実とは違うことを話してしまうことがあります。
最初の調査で、大きくその後の状況が変わってしまうこともあります。学校の先生による事実調査の段階で、弁護士による聞き取りを行うことも考えられます。
後遺症とは?
けがの影響が残らないといいのですが。
後遺症について
医師は様々な事情から判断をしていますが、患者本人からの症状の報告も重要な根拠になっているようです。この後遺症は、実際には医師との意思疎通がしっかりできていないと、診断書に反映されないこともあるようです。安心して診察を受けていただくために、当事務所はお子さんの状況を医師に伝えるためのサポートも行っています。
医師により後遺症と診断されると、けが等の治療に関する費用とは別に、スポーツ振興センターからその障害の内容と程度に応じて、障害見舞金が支払われる可能性があります。
医師から後遺症と診断された場合には、それに基づいて請求することが考えられます。慰謝料は、けがが大きいほど、その後の生活への影響が大きいほど、結果として慰謝料の金額は上がることになります。(等級表へ)
後遺症慰謝料請求する場合
他にはどのような請求ができるのでしょうか。
ただ、事故の原因が、行為者と被害者双方にある場合には、金額が減額されることもあります。
後遺症慰謝料請求について
慰謝料請求は、①けがをさせた(加害をした)生徒とその親に対する請求、②学校に対する請求を行うことができる可能性があります。
こういった請求は、故意や過失のある行為によってけがをさせた人に請求することができます。「よって」といえるためには、因果関係が必要になり、けがをさせられた人にも過失があれば、過失相殺が行われ、賠償額は減額されることになります。
故意とは、自分の行為によって被害が発生することを認識しながら、あえて行為をすることをいいます。つまり、わざと被害を生じさせた場合、例えば、同級生に暴力を振るう場合などがこれに当たります。
事案によっては、相手が故意はなかったと主張してくることもあります。そうした場合には、現場でどのような行為が行われていたのかなどといった事実関係を詳しく立証する必要があります。そのためには、目撃者などの証人を探し、その証言がどの程度信用できるものかなどといったことを判断していく必要があります。
過失とは、被害が発生しないように注意すべき義務があったにもかかわらず、不注意があったために、被害を発生させてしまった場合をいいます。
学校事故の事案で、学校側の責任を問う場合、教師に過失があったのかどうかが問題となる場合が多いです。過失が認められるには、教師が被害の発生を予見する可能性があったこと、被害の発生を回避するために、とるべき措置があったにもかかわらず、そうした措置をとっていなかったことなどが必要になります。過失が認められるかどうかは、一つの事情で決まるということはほとんどなく、様々な事情を考慮して判断されることになります。ある事故で、どのような事情が大きな意味を持つことになるのか考えるには、過去の裁判例や学説などを詳しく検討しなければなりません。
相手に損害賠償請求をするには、相手の行為(加害行為)と、発生した被害結果との間に因果関係があることが必要になります。因果関係の有無の判断についても、様々な事情が考慮されることになるため、過去の裁判例などの検討が必要になりますし、事案によっては、医学などの科学的な専門知識が必要になってくる場合もあります。
相手に法的責任が認められ、損害賠償請求ができる事案でも、被害者の方にも過失がある場合には、「過失相殺」、つまり、損害賠償額が減額されることになります。裁判において、過失相殺をするのかどうか、する場合にどの程度減額するのかは、裁判官の裁量とされており、様々な事情が考慮される可能性があります。過失相殺の判断にどのような事情が影響するのか、また、どの程度影響するのかを考えるに当たっては、やはり過去の裁判例などの検討が必要不可欠になります。
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