芸能業界には、独立・移籍問題、実演家としての権利問題、SNSの権利問題、誹謗中傷問題、ハラスメントなど多くのトラブルが多いですが、そのなかでも、以下のトラブルが多いといえます。
まず、タレント契約書の名称は「所属タレント契約書」「専属契約書」「マネージメント契約書」など芸能事務所によって様々です。このタレント契約を締結する際,契約書の以下の点について、注目する必要があります。
他にも注意点はありますが、最低でも以上の点は、確認する必要があります。
一度、マネージメント事務所側とタレント契約を締結しますと、原則として契約の内容が法律や公序良俗等に反していない限りは、その契約書に記載された内容に法的に拘束されることになります。
そして、その契約内容について後々争うとなると、多大な時間や労力、そして金銭的負担が必要となることも多くあります。
したがって、将来的なトラブルを予防するためには、契約を締結する「前」に契約書の内容をチェックすることが重要といえますが、その際はエンターテインメント分野に実績がある弁護士に契約書の内容をチェックしてもらうことを強くお勧めします。
日本のタレント契約(専属タレント契約・マネージメント契約)では、1年から3年の間で「契約期間」を定めていることが多いといえます。
では、その契約期間中において、タレント契約(専属タレント契約・マネージメント契約)を解除することができるのでしょうか?
以下の場合などには、契約を解除できると考えられます。
以上のように、一定の場合には、契約期間中もタレント契約を解除することができるといえます。「タレント契約の法的性質上、解除できる場合」については、実際のタレント契約書をエンターテインメント分野に実績がある弁護士に共有し、確認してもらうことをお勧めします。
ところで、たとえ上記の条件に該当して、タレント契約を解除できた場合でも、後に以下のような問題が発生する場合があります。
タレント契約を途中で解除する際には、以上の問題が後に発生しないよう、事務所と交渉することが重要となります。どのように交渉を進めるべきか等につきましては、エンターテインメント分野に実績がある弁護士に相談をしましょう。
専属タレント契約書(マネージメント契約書)の条項に「事務所を辞めたあと数年間は芸能活動を禁止する。」という「競業避止義務・芸能活動禁止特約」の記載がされていることがあります。また、芸能事務所を辞める際にとの同様の契約(特約・覚書)の締結を強いられることがあります。
では、このような競業避止義務・芸能活動禁止特約は有効なのでしょうか?
東京地方裁判所平成18年12月25日の判決では、「芸能人の芸能活動について当該契約解消後2年間もの長期にわたって禁止することは、実質的に芸能活動の途を閉ざすに等しく、憲法22条の趣旨に照らし、契約としての拘束力を有しない」としました。
つまり、裁判所は、「事務所を辞めたあと数年間は芸能活動を禁止する。」との契約(特約)は無効と判断しました。
また、弊所で獲得した知財高裁令和4年12月26日の判決(FEST VAINQUEUR事件)では、契約終了後6か月間の活動禁止につきましても、公序良俗に反するとして無効となりました。
このように、現在の裁判例を前提にする限り、競業避止義務に関する条項は、公序良俗に反して無効であるといえます。
芸名(グループ名)には、「人格的権利に由来するパブリシティ権」が認められると考えられており、仮に事務所側が芸名等を考えたとしても、その芸名を使用する権利は、タレント本人にあるといえます(東京高裁令和2年7月10日 事件番号令元(ラ)2075号 判例時報 No.2486等)。
また、東京地裁令和4年12月8日(愛内里菜事件 判タ1510号229頁)では、「契約の終了後も無期限に事務所に芸名の使用の諾否の権限を認めている規定」について、社会相当性を欠き、公序良俗に反して無効と判断しています。
基本的に、事務所は、タレントが個人事業主であることを前提にして、タレント契約(専属タレント契約、マネージメント契約)を締結しています。もっとも、事務所側の指揮監督の有無、時間や場所の拘束の有無、タレント側に仕事内容の諾否の自由の有無や程度などを考慮して、一定の場合には、タレントが労働者であると判断されることもあります。
実際に、弊所で獲得した大阪地裁令和5年4月21日(ファーストシンク事件)では、アイドルグループ所属のアイドルを労働者であると判断しました。
以下は、レイ法律事務所による弁護士が芸能事件に強い弁護士としてコメント寄稿した記事等となります。合わせてご覧になってください。
レイ法律事務所代表弁護士佐藤大和による芸能問題解説動画となります。動画は①から⑥まであります。合わせてご覧になってください。
近年、芸能人(俳優、アイドル、タレント、アーティスト等)の移籍・独立に関する相談が多くあり、特に「契約期間中の退所」、「事務所退所後の活動制限(退所後、○ヶ月間は活動してはいけない等)」、「退所に伴い、事務所から金銭(違約金等)の要求」などについての相談が増えています。
移籍・独立する際に、事務所から多額の違約金を求められたり、また、数か月から数年の活動制限を求められることもあり、解決までには、膨大な時間と大きな精神的負担を伴うことがあります。
弁護士にご相談いただければ、早期解決や法律論の観点のみならず、ご相談者様の状況に合わせた方針・対策を弁護士からご提案します。
特に、レイ法律事務所の弁護士は、この分野を開拓してきた弁護士であり、交渉実績が豊富で、移籍・独立問題についても、重要な判決を勝ち取ってきました。
芸能人(俳優、アイドル、タレント、アーティスト等)に関する法律問題