過去に出演したAV(アダルトビデオ)の販売停止について弁護士が解説!
過去にAV(アダルトビデオ)に出演したが、「夫や知り合いにバレてしまった」「将来、子どもに見られたくない」等といったことを理由に「販売停止させたい」と思いながらも「どうしたら良いかわからない」と行動できない方も少なくありません。
こちらのページでは、過去に出演したAV(アダルトビデオ)の販売停止方法について解説します。
出演契約の解除
まず、メーカー又は事務所との間で締結した出演契約を解除し、販売停止を求めていくことが考えられます。ただ、この場合には、メーカー又は事務所から損害賠償を請求される場合もあり、出演者に損害賠償責任があるかを争うことになります。
出演契約の無効、取り消し
次に、メーカー又は事務所との間で締結した出演契約について詐欺又は脅迫等を理由に取消し、無効を主張し、販売停止を求めていくことが考えられます。
➀ 詐欺・脅迫
AV(アダルトビデオ)は、事前に適切な説明がされることがなかったり、嘘の説明(例えば「海外でしか見られない」等の説明)をされたり、また半ば強引に撮影されることも少なくありません。例えば、「現場に行って初めてAV(アダルトビデオ)の撮影だと気づき、断ったところ、多額の損害賠償の可能性を言われ、撮影されてしまった」という方もいらっしゃいます。
このような撮影方法や撮影までの経緯に問題があることを理由として販売を停止できるケースがあります。ただ、このような場合には、詐欺や脅迫に関する証拠等も必要となってきます。
② 人格権侵害行為
AV(アダルトビデオ)の撮影は、性的な行為を要求するものであるため、出演者である女性の自己決定権等に深く関わるものとなっています。そこで、撮影に応じるかについては、慎重な判断をする機会が保障されていなければなりません。
しかし、慎重に判断する機会を与えられずに契約を迫られることがあります。このような場合には、人格権侵害等を理由として、販売を停止できるケースがあります。
AV5年ルール
また、販売開始から原則5年が経過したAV(アダルトビデオ)については、メーカー・事務所が自主的に販売を停止するルールがあります。そのため、販売から5年経過している場合には、その「AV5年ルール」を理由に、メーカー・事務所に対して、販売停止をお願いしていくことが考えられます。
もっとも、こちらのルールはあくまで業界内の自主的なルールであるため、このルールに従わないメーカー・事務所も存在しています。
なお、DVDなどの中古品販売につきましては、メーカーではなく、その中古品を売っている販売サイトに対して直接、販売の停止・差し止めの請求をかけて交渉等をしていくことになります。
AV新法
そして、2022年6月23日以降に締結された出演契約等であれば、AV出演被害防止・救済法(以下、「AV新法」といいます。)が適用され、無条件に出演契約を解除し、販売や配信の停止、動画の削除などを実現できる可能性があります。
簡単にAV新法について説明をすると、AV新法には以下のようなことが定められています。
- ① 出演は作品ごとに契約をしないといけない
- ② 契約書等の交付を受けた日から1か月は撮影してはいけない。全ての撮影を終了した日から4か月は、公表(発売)してはいけない
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③ 公表(発売)から一定期間は性別・年齢を問わず、無条件に契約を解除できる
解除が可能となる期間は次のとおりです。・2022年6月23日~2024年6月22日までの契約は、2年間・2024年6月23日~2025年6月22日までの契約は、1年間か、2026年12月22日のいずれか遅い日まで・2025年6月23日以降の契約は1年間 - ④ 出演契約をしていないにも関わらず作品の制作公表がされた場合や、出演契約の取消・解除をした場合は、公表の停止・予防及びこれに必要な行為を請求することができる
- ⑤ 違約金の定めや、制作者側が負う必要な義務を無効とする定めは無効
- ⑥ 出演者は映像を確認する義務を与えられなければならない
- ⑦ 制作者側は、無条件に契約を解除できないと出演者に誤認させたり、出演者を脅したりしてはいけない
AV新法についてもっと詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
> AV新法の解説
その他の主張や法令違反行為
AV(アダルトビデオ)の出演契約の適法性については、近年議論が盛んとなっており、その他の法的主張(例えば「忘れられる権利」など)や各種取締法規の違反を主張することができる場合もあります。
また、AV(アダルトビデオ)の撮影が強引な態様で行われたことによって、怪我をしたり、精神的に追い詰められてしまったりする方も多くいらっしゃいます。このようなことも、メーカー・事務所に対して、違法な行為を追及する際の重要な主張となります。
メーカー・事務所の違法行為
ところで、メーカー・事務所の違法行為があった場合には、以下のような理由から、本人で販売停止を求めずに、弁護士に依頼する必要性が高いといえます。
- ① まず、違法行為をするようなメーカー・事務所は、こちらの主張には簡単には応じてくれないことが多いです。場合によっては強い口調で反論してくるメーカー・事務所も存在しています。
- ② また、販売停止等を求めた場合に、嫌がらせ行為や虚偽の説明、多額の損害賠償請求等を主張してくる場合もあります。
そのため、自らの力で解決しようとせずに、このようなトラブルについて経験がある弁護士に依頼し、適切に対応をした方が良いと考えられています。
証拠の保存
また、AV(アダルトビデオ)に出演された方は、出演したことが家族に知られることを恐れ、出演契約書を持ち帰らなかったり、捨てたりして、出演契約書等を残していないこともあります。このような場合、メーカー・事務所等に対応してもらえなかったり、場合によっては契約書の日付や内容を改ざんされたりするおそれもあります。
そのため、必ず証拠は保存されるようにしてください。
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