【弁護士コラム】同性との交際は浮気・不倫?
平成27年3月、渋谷区で「同性パートナーシップ条例」が成立しました。その後、世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、北海道札幌市など、各地で同性愛者などの性的少数者カップルを公的にパートナーとして認める制度が始まっています。性的少数者への理解は徐々に深まり、その権利を保護する動きが高まりつつあるといえるでしょう。
■同性との交際は浮気・不倫にあたる?
さて、既婚者が同性と交際をした場合には、男女間の交際と同様、不倫にあたるのでしょうか。 不倫、すなわち「不貞行為」とは、あくまで配偶者以外の異性と性的関係を持つことと言われています。そうすると、今の日本の裁判では、同性と性的関係を持ったとしても、不倫にはあたらないということになります。
ただ、最高裁判所は、不貞行為が不法行為とされるのは、婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害するからであると判示しています(最三小判平成8年3月26日民集50巻4号993頁)。 これは私見ですが、同性同士の関係であっても、それによって「婚姻共同生活の平和」を害したと言えるのなら、不貞行為と認められるべきではないかと思います。当然、慰謝料請求も認められてしかるべきではないでしょうか。
■同性との浮気を原因に、離婚は認められるか
前に述べた通り、直接「不貞行為」にはあたらない可能性もありますが、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、離婚が認められる可能性があります。 同性相手だからといって、浮気はやはり許されるものではないでしょう。
ただ、男女間の不倫の場合と同様に、大切なのは証拠です。 一緒に泊まったとしても、「友達だから」と言い訳をされてしまったら、それを覆すだけの証拠を集めなければなりません。 もしかしたら、男女の不倫よりは証明が難しいかもしれませんね。